以下の紹介内容は、下記より抜粋しています。
ビジュアル版 新・脳と心の地形図 (日本語) 単行本
【参考】
ビジュアル版『新・脳と心の地形図』
思考・感情・意識の深淵に向かって
リタ・カーター/著、藤井留美/訳
養老孟司/監修原書房
それ以外の追加情報については、参照元を個別に記載します。
写真画像は、撮影した写真を使用しています。
神経伝達物質は、それを分泌する細胞の種類で決まる。
情報はニューロン経路を通って運ばれる―ニューロン経路とは、連結したニューロンのまとまりで、その中では同じ化学物質が分泌され、ニューロンどうしがたがいに火花を散らしあう。
脳内のさまざまな領域は、線路で結ばれた駅のようなもので、
線路を経由して次々と発火したり、あるいは連絡が遮断したりする。
脳内の化学物質、すなわち神経伝達物質は広範囲に作用するが、領域によって効果が変わってくることもある。
神経伝達物質はこれまで確認されただけでも数百種類あり、それを浴びたニューロンが発火する興奮性のものもあれば、反対に活動を停止させるものもある。そのおもなものをここで紹介する。
プロザックという薬で強化される神経伝達物質で「幸せの」物質と呼ばれたりもする。
たしかに気分や不安感に大きな影響を及ぼし、セロトニンの分泌がさかんだったり、あるいは過剰に反応すると、気分が晴れ晴れして、楽天的になる。
それ以外にも、睡眠や食欲、血圧にも関係している。
脳のなかで注意、学習、記憶に関係する領域をコントロールする。
アルツハイマー病の患者は、大脳皮質のアセチルコリンレベルが低くなっている。そこでアセチルコリンの働きを活発にする薬を投与すると、記憶力が改善することがある。
興奮性の化学物質で、身体的、精神的に高ぶった状態を作り出し、気分を高揚させる。
脳の「快楽」中枢とも呼ばれる青斑核で作られる。
興奮姓の神経伝達物質の代表で、学習や長期記憶を受け持つニューロンの結びつきを強める。
脳内で作られる一種の麻酔薬で、痛みをやわらげ、ストレスを減らし、海の上に浮かんでいるような感覚を引き起こす。
呼吸などの身体機能を低下させ、依存状態を作り出すことがある。
人を穏やかにしてくれる物質。
母親と赤ん坊、恋人どうしのように、他者との一体感、人間どうしのきずなや信頼感を作りだす。
オキシトシンがとくに多いのは女児で、成人ではともにオーガズムのときに分泌される。
報酬がもらえそうかどうかを予測して、それに飛びつくのはドーパミンの働きだ。
その過程では、欲望、期待、興奮といった感情も生まれる。ドーパミン経路は脳のいろんな場所を通っていて、その場所ごとでちがう仕事をする。
脳幹の奥深く、黒質と呼ばれる場所でつくられるドーパミンのおかげで、私たちは精神的にも身体的にも前に進むことができる。黒質のドーパミン分泌細胞が退化すると(パーキンソン病など)、思考も行動も思うように前進できない。
もうひとつ、腹側被蓋野から扁桃、側坐核、中隔、前頭葉前部(これらを総称して内側前脳束と呼ぶ)へとつながるのが「報酬系」である。側坐核がドーパミンで活性化されると、身体は欲求の対象を追いかけ、手に入れる態勢に入り、扁桃はその価値を認識して興奮を呼びおこし、前頭葉前部と中隔がそこに注意を集中させる。こうした反応がひとつになったのが、いわゆる「ハイテンション」な状態である。
ただし長続きする満足感はここからは得られない。ドーパミン・ハイになると、次から次へと刺激を求めずにはいられなくなる―依存のはじまりだ。
ドーパミンは、世界が「ひとつにまとまっている」という感覚にも関係している。そのためドーパミンの分泌が阻害されると、「世界がばらばら」という感覚に襲われたり、反対にすべてが重大な意味を持ち、見えないところでつながっていると感じてしまう。こうした世界観はドーパミンの機能低下が引き起こすが、ドーパミンが正常なときとくらべて現実離れしているわけではない。
ドーパミンの働きは、進化によってちょうどいいレベルに設定されている―目的はあくまで食べ物や生殖のチャンスを逃さないこと。
ドーパミンの効果が出すぎて宇宙を支配する偉大な存在に浸水してしまうと、迫る敵の脅威を見逃す危険がある。だからといって「ちょうどいいレベル」が現実をそのまま反映しているわけではないのである。
以上の紹介内容は、下記より抜粋しています。
ビジュアル版 新・脳と心の地形図 (日本語) 単行本
【参考】
ビジュアル版『新・脳と心の地形図』
思考・感情・意識の深淵に向かって
リタ・カーター/著、藤井留美/訳
養老孟司/監修原書房
それ以外の追加情報については、参照元を個別に記載します。
写真画像は、撮影した写真を使用しています。