以下の紹介内容は、下記より抜粋しています。
ビジュアル版 新・脳と心の地形図 (日本語) 単行本
【参考】
ビジュアル版『新・脳と心の地形図』
思考・感情・意識の深淵に向かって
リタ・カーター/著、藤井留美/訳
養老孟司/監修原書房
それ以外の追加情報については、参照元を個別に記載します。
写真画像は、撮影した写真を使用しています。
意識を経験しているとき、脳では何が起こっているのだろう?
脳スキャン技術を使った研究で、ある感覚を意識的に経験している脳は、その刺激がただ入っているときと明らかに異なる活動パターンを示すことがわかった。
意識が立ち上げるには、脳内の数多くのニューロンがいっせいに発火し、興奮する必要があるようだ。ニューロンの同時発火が、ひとつの経験を構成するさまざまな要素を「束ね」て、単一の知識にまとめあげる。
たとえば夕日を見ることを経験するには、赤い色を感じる脳の領域、太陽の丸い形を認識する領域、過去の夕日の記憶を呼び出す領域、さらに「夕日」という単語を思い出す領域が関係している。
脳が興奮するには、最低でも約40ヘルツ(毎秒40回)の発火速度が必要だと考えられる。
意識に必要不可欠な要素、それは注意である。脳はもともと、身体の警報装置として出発した。だから脳の警戒メカニズムは、危険が迫ったときに最も効率良く機能する特別な仕組みだと言える。
近くの草むらでかさりと音がした―ひょっとすると危険なものかもしれない。そんな刺激を検知すると、網様体賦活系から脳全体にアドレナリンが放出される。すると不必要な活動はすべて停止するので、警戒時の脳をスキャンすると、静まり返っている。身体の活動も抑制されて心拍数は下がり、呼吸も浅く静かになる。
来るべき何かに備えて警戒体制に入っているときでも、上丘、視床枕の外側部(視床の一部)、それに頭頂葉の皮質だけは活動している。これらの領域は、位置決めと焦点合わせがもっぱらの役目である。そして次に何か刺激が入ってくるやいなや、平時には考えられないレベルで脳は活動を開始する。
ものを考えるとき、そしておそらく意識するときにも注意は必要だ。
注意を支える要素は3つある。喚起、定位、そして焦点である。
喚起をつかさどっているのは、脳幹のいちばん上、中脳にある核の集合体で、これは網様体賦活系と呼ばれている。脳幹の中心を構成するニューロンは、とても長い樹状突起が上下に伸びていて、そのうち皮質に直接届くものが意識的に関係している。(中略)刺激を受けると神経伝達物質が放出されて、脳全体のニューロンが活発になる。なかでもドーパミンとノルアドレナリンは、前頭葉前部を活発にすることで知られている。また網様体賦活系のニューロン集団を刺激すると、振動数が20~40ヘルツで、警戒に関係するアルファ脳波が出る。
定位は、中脳の上丘と頭頂葉の皮質のニューロンが行なう。上丘は新しい刺激に目を向けさせ、頭頂葉の皮質はいまの刺激から注意をそらす働きがある。
対象に焦点を合わせるのは、視床下部の一部である外側視床枕の役目で、刺激を合図にスポットライトのように点灯する。そして焦点が定まれば、その情報を前頭葉に送って注意が向けられ、その状態が保たれる。
脳が意識的に対象を認知するか、それともただの情報入力で終わるかは、脳のほうで注意を向ける準備ができているかどうかも関係する。注意を振り向ける背外側前頭前野や、外側から入ってきた情報を「束ねる」頭頂間皮質が充分に活発なら、脳は意識的な認知に向けて待機していると言える。
たとえば実験で被験者の手に触れるとき、これらの領域が活発になっていれば、被験者は触れられたことに気づく。しかしそうでない状態のときは、同じ強さで触っても被験者は気がつかない。
以上の紹介内容は、下記より抜粋しています。
ビジュアル版 新・脳と心の地形図 (日本語) 単行本
【参考】
ビジュアル版『新・脳と心の地形図』
思考・感情・意識の深淵に向かって
リタ・カーター/著、藤井留美/訳
養老孟司/監修原書房
それ以外の追加情報については、参照元を個別に記載します。
写真画像は、撮影した写真を使用しています。