世の中が平和であることのたとえ。
「簫韶九成、鳳皇來儀。」という言葉が書経(尚書)に記載されています。
これは、伝説の聖人である舜(世の中を平和に治めていた)が作ったという簫韶(しょうしょう)という音楽を演奏すれば、鳳凰が飛来して威厳のある姿を示す、というような意味を表しているようです。
◆読み方
ほうおうらいぎ
◆意味
世の中が平和であることのたとえ。
「鳳凰」は聖天子が出現するときに現れるとされる想像上の鳥。
「来儀」は鳳凰が飛来して、威厳のある姿を示すこと。
◆出典
『書経』「益謖」
【引用】四字熟語オンライン
「簫韶九成、鳳皇來儀。」という言葉が書経(尚書)に記載されています。
これは、簫韶(しょうしょう)という舜が作った音楽を演奏すれば、鳳凰が飛来して威厳のある姿を示す、というような意味を表しているようです。
伝説の聖人である舜は「理を以って政治を行い広く徳を示した」ので、人々は舜に従い、平和な世の中だったと伝えられています。
簫韶とは舜が作ったと言われる音楽、韶簫とは舜が作ったと言われる古楽器のようです。
《史記・五帝本紀》には、”天下の徳は虞帝より始まる。”とあります。この虞帝とは舜の事を示しています。
これらの書物には皆舜が理を以って政を行い国を治め広く徳を示したため、人民は舜に従い世は平和であったことが書かれています。
【引用】帝舜:古代中国の五帝に数えられる古代中国の名君で意地悪な親にも忠孝を尽くした帝
(プロメテウス)
帝舜有虞氏・・大韶の楽を作る(竹書紀年)、
夔曰:「戛擊鳴球、搏拊、琴、瑟、以詠。」祖考來格,虞賓在位,群后德讓。下管鼗鼓,合止柷敔,笙鏞以閒。鳥獸蹌蹌;《簫韶》九成,鳳皇來儀。夔曰:「於!予擊石拊石,百獸率舞,庶尹允諧。」(書経益稷5)
「舜帝制定の朝廷歌で9楽章を含む相当厖大な音楽、名作曲家夔(き)により、上には舜の徳・下には夔の名曲が和して鳳凰まで飛んできて一緒に舞うというめでたい風景。」
・・「天子諸侯が一同に会し、堂上には石磬や琴瑟に合わされ歌声が配され、堂下には笛や太鼓、笙や鐘などを並べて、曲の始めには柷(しゅく)を撃ち終止には敔(ぎょ)を擦って合図する。笙の形が鳥に似たり鐘の飾りに獣形のものが施されたりいかにも禽獣に至るまでみんなで韶楽を楽しむようである。」
【引用】1971.「樂經」幻想(論語等の孔子2)
○簫韶
舜が作ったという音楽の名。
『尚書』虞書「益稷謨」に「簫韶九成、鳳皇來儀。」(簫韶 九成すれば、鳳皇 来儀す。)とあり、
孔安国伝に「韶、舜樂名。言簫、見細器之備。雄曰鳳、雌曰皇。靈鳥成。儀有容儀、備樂九奏而致鳳皇、則餘鳥獸不待九而率舞。」
(韶、舜の楽の名。簫と言うは、細器の備はれるを見はす。雄を鳳と曰い、雌を皇と曰なり。霊鳥なり。儀 容儀有り、楽を備へて九たび奏して鳳皇を致さば、則ち余の鳥獣 九を待たずして率ね舞ふ。)とある。
◆引用
『太平広記』訳注:巻四百十九「龍」二(上)
(太平広記読書会)
△夔曰、戛擊鳴球、搏拊琴瑟、以詠、祖考來格。虞賓在位、羣后德讓。下管・鼗鼓、合止柷・敔、笙・鏞以閒、鳥獸蹌蹌。簫韶九成、鳳皇來儀。
【読み】
△夔[き]曰く、鳴球を戛擊[かつげき]し、琴瑟を搏拊[はくふ]して、以て詠ずれば、祖考來り格る。虞賓位に在り、羣后德もて讓れり。下に管・鼗[とう]鼓、合わせ止むる柷[しゅく]・敔[ぎょ]あり、笙[せい]・鏞[よう]以て閒[まじ]われば、鳥獸蹌蹌[そうそう]たり。簫韶[しょうしょう]九成すれば、鳳皇來り儀[のり]あり、と。
【引用】『書経』(尚書)原文と読み
知命立命 心地よい風景 〜リベラルアーツ・知性と教養の海原〜
『書経』(しょきょう)は中国古代の歴史書で、伝説の聖人である堯・舜から夏・殷・周王朝までの天子や諸侯の政治上の心構えや訓戒・戦いに臨んでの檄文などが記載されている。 『尚書』または単に『書』とも呼ばれ、儒教の重要な経典である五経の一つでもある。
『古代中国の時代からこの拜簫にはさまざまな言い伝えがあり、その形は鳳凰の翼からとったものとされ、「簫韶九成せば、鳳凰来儀す」ともいわれ、神を祀る楽器とされていた。』(「よみがえったシルクロードの音色」より引用)
排簫(はいしょう)は、廃絶楽器の一つです。正倉院には「甘竹簫」として伝わっています。
単に簫ともいいますが、簫には、尺八のような洞簫という楽器もあります。『日本音楽大辞典』によると、金・元代以降は排簫、明代以降は鳳簫とも呼ばれました。鳳簫とは、鳳凰の翼を象った形に竹が並べられたことから呼ばれました。
古代中国の神話上の皇帝である舜が作ったとされます。これも曽候乙墓から出土しています。
中国では、様々な種類の排簫があったようで、陳暘の『楽書』には12種の名が挙げられています。『楽家録』は『文献通考』を引いていますが、ヱン(竹冠に言)簫(22管)、コウ(筊、竹冠に交)簫(16管)、韶(セウ)簫(10管)、十八管簫(18管)、二十一管簫(21管)、歌簫の6種が挙げられています。十八管簫については、「唐楽図が伝える所の簫は18管である。」(さらに『楽書』からの引用かと思われる。)とあり、正倉院伝来の楽器も18管です。
【引用】排簫-雅楽研究所「研楽庵」
竹管を使った縦吹き・ノンリードのフルートであり、単管のものとパンパイプ型の二種があり、八音ではいずれも「竹」に属する。
唐代以前は、単に簫と言った場合はパンパイプ型を指した。金・元代以降は排簫(排列の意から)、また明代以降は鳳簫とも呼ばれる。
長短の竹管 10-24 本を長さ順あるいは左右対称となるよう平らに並べて、木帯でおさえるか(古制)、鳳翼をかたどった木枠に入れる(鳳簫という名の由来)。中国に古くから存在した楽器と考えられ、伝説上は舜帝あるいは伏羲の作とされる。
宋の陳暘が著した『楽書』には次のような各種の簫が見られる。
10管 - 韶簫
排簫(はいしょう)の形は鳳凰の翼からとったものという説がありますが、鳳笙(ほうしょう)は翼を立てて休んでいる鳳凰に見立てられている楽器だそうです。
笙(しょう)とは、雅楽などで使う管楽器の1つ。
日本には奈良時代ごろに雅楽とともに伝わってきたと考えられている。雅楽で用いられる笙は、その形を翼を立てて休んでいる鳳凰に見立てられ、鳳笙(ほうしょう)とも呼ばれる。匏(ほう) と呼ばれる部分の上に17本の細い竹管を円形に配置し、竹管に空けられた指穴を押さえ、匏の横側に空けられた吹口より息を吸ったり吐いたりして、17本のうち15本の竹管の下部に付けられた金属製の簧(した:リード)を振動させて音を出す。その音色は天から差し込む光を表すといわれている。
雅楽の管楽器「笙(しょう)」の第一人者、宮田まゆみさんの言葉より。
『笙の一番の魅力は合竹(あいたけ)という和音を鳴らせること』
『例えば6つの音を同時に鳴らしている場合、倍音や差音といった副次的に発生する音がその6つの音を霧のように取り巻きながら、全体で音響の雲をつくり出す。こうした銀河のような響きを体で感じて味わうのが笙の楽しみだと思う』
『「大学の音楽美学の講義で宇宙のハーモニーがあることを知ったのが笙を始めたきっかけ」と話す。その講義によると、宇宙のハーモニーを聴ける人はごくわずかで、例えば古代ギリシャの数学者で音階の数理を発見したピタゴラスが聴けたとのことだった。「自分も宇宙のハーモニーを聴きたいと思っていたある日、雲の間から光が差してくるのを見て、その光に音を感じ、それが笙の音と結びついた。初めて自分の求める音を見つけた気がした。最初は笙の演奏を聴きたいと思っただけだったが、いつのまにか演奏するようになった」と話す。』
『「響きだけ聴いていたらどこの国の楽器か分からないのが笙だ。雅楽の合奏の中で笙は、光に満ちたシャワーのような背景であり、篳篥や龍笛などほかの楽器を運んでいく役割をする。篳篥と龍笛は太い旋律を吹く。篳篥は地上の声のような響きで、龍笛は空と結びついた理性的な響きだ。笙はそれらの楽器を浮かべて運ぶ大きな川の流れといった感覚だ」』
【引用】●笙の宮田まゆみ 福島で雅楽に親しむ音楽祭(NIKKEI STYLE)
引用ページで紹介されている演奏動画↓↓
伝説の鳥と呼ばれる鳳凰を模して作られた雅楽器、「笙」。西東京市に住む鈴木治夫さんは、日本でも数少ない笙職人の一人です。「3000年続いてきた笙を次の世代に残したい」と、40年にもわたり、笙作りを続けてきた鈴木さんの職人の技と思いに迫ります。
【引用】第114回 多摩探検隊 「笙職人~3000年の音色をつなぐ~ 」(2013年10月放送)