日常生活の中で人生を大きく変えるために、見方や考え方から変えていく方法があります。新しい刺激によって脳を育て、生き方まで大きく変えていくことが可能です。これは困難を乗り越える際にも有効な方法です。日々の成長から人生の大きな変化まで、脳を育てる観点も意識して生活することは役立ちます。
2022年2月17日 inner-wish
人生のリフォーム〜脳の育て方について『1週間で脳から生まれ変わる技術』久保辰博氏 (著)より紹介しています。
以下の紹介内容は、すべて下記より抜粋・引用しています。
1週間で脳から生まれ変わる技術
【参考】
『1週間で脳から生まれ変わる技術』
著者:久保辰博
(東京大学 新領域創成科学研究科准教授)
出版社:扶桑社
画像は編集して作成しました。
小見出しは掲載されている見出しと、内容から作成した見出しを使用しました。
文章はすべて本文の一部を要約・抜粋・引用しています。掲載順は一部入れ替えています。
「脳の管制塔」である海馬が新生ニューロンによって生まれ変われば、それは脳全体のネットワークをリフォームすることになります。脳のリフォーム、それは生物の「進化」にも相当する行為でもあります。性格や考え方まで含めて、新しい自分に生まれ変わり、新しい人生を歩み直せる可能性だってあるのです。
脳がネットワークで機能しているように、この世界もネットワークで動いています。あなた自身は、脳における海馬のような存在だと思ってください。海馬が元気になれば、脳のネットワークが変わり、今までと違ったものの考え方をするようになります。同じように、あなた自身が変われば、取り巻く状況や世界も一変するはずです。
新生ニューロンを増やすことによってあなたの脳に起こる可能性がある変化を、日常生活に即したかたちで探っていきたいと思います。新しい人生をスタートさせるのにお金や地位が必要とは限りません。「脳のリフォーム」。それは「人生のリフォーム」にもつながっていくことなのです。
新生ニューロンは可塑性の高いニューロンです。新しい刺激に反応して、シナプスの枝を広げていきます。その結果、脳のネットワークが再構築され、思いもよらなかったヒラメキが生まれることがあります。
固定観念という言葉がありますが、ある事物とその意味をつなぐ回路を何度も反復・反芻するうちに、その回路が強化され、物事の考え方が固定されていっているのだと思います。 こうした脳の働きは、日常生活をスムーズに送るためには、大変便利な機能ではあります。ですが、いつの間にかある特定の文脈を形成する回路しか使わなくなり、考え方や生活がマンネリ化していく弊害もあります。
ですから、新生ニューロンを増やし、脳の新しい回路が開きやすい状態にすることで、ヒラメキやすい脳を作ることは、潤いのある人生を送るためにもとても大切なことであると思います。
「忘れたくても忘れられない」記憶は、海馬の中で反芻刺激となり、脳に刷り込まれていきます。このような「嫌な記憶」を忘れるためには、新生ニューロンを増やすことが効果的です。
人間の記憶は、海馬で一時的に保存された後、大脳新皮質に移され長期記憶として貯蔵されることで、海馬から消失します。しかし、恐怖や失敗の記憶は、反芻記憶として海馬に定着することでことあるごとに脳裏に浮かび上がり、ストレスとなって精神を蝕むのです。記憶が海馬から大脳新皮質へと移る期間はおよそ1ヶ月とされているので、その間に新生ニューロンを増やす努力をすることで、ストレスの元凶となる記憶を大脳新皮質へと適切に移すことも可能と思われます。
私の場合、ストレスが溜まるような出来事があった場合、歩いたことのない道をウォーキングしたり、新刊書を読んだり、今まで聴いたことのなかった音楽を聴くなどして、新生ニューロンを増やし、こまめに嫌な記憶が海馬から大脳新皮質へと移行できるように取り組んでいます。痛手が大きいほどなかなか消えてはくれないものですが、地道に新生ニューロンを増やしていけば、徐々にその輪郭はぼやけ、傷も癒えてくるでしょう。
「やる気が出ない」というのは、つまるところ、脳にストレスがかかっている状態といえます。ストレスを受けるのが嫌で、何もせず部屋でじっとしている状態でも、脳にはストレスが溜まっていきます。
このストレスがかかっている状態は、脳で過剰にストレスホルモンが分泌されることが原因です。このストレスホルモンを抑える機能を持つのが、新生ニューロンの成長因子「BDNF」であるということは、すでに説明しました。
新生ニューロンを増やす生活習慣とは、とりもなおさずBDNFを増やす生活習慣でもあります。さらに、「脳の管制塔」である海馬の働きが高まれば、異常をきたしていた脳のバランスが正常に戻り、ストレスホルモンの過剰分泌も抑制されることになるでしょう。
大学の認知科学の教科書にも載っている、ケンブリッジ大学のバートレット博士の有名な言葉があります。
「記憶(海馬)は、過去を思い出すためではなく、将来何をすべきかのために使う」
こうした考え方は、近年の脳科学の世界でもより浸透してきており、ハーバード大学のシャクタ博士は2009年に「記憶が将来を予測する」との論文を発表しました。記憶とは、海馬と大脳新皮質に蓄積されたデータを組み合わせることで、自分が今後どう行動すればよいのかを導きだすためのシステムなのです。
ですから、海馬が元気であるほど、自分の将来に対して的確な判断を下せるようになり、意欲も湧いてくるはずです。 さらに、海馬が新生ニューロンで満ちていれば、新しい刺激に対する学習能力が高まり、結果として新しい環境への適応力もアップします。
海馬の新生ニューロンが人生にもたらす変化は、これだけではありません。海馬は人間の脳の中で唯一ニューロンが生まれる場所、つまり、生まれ変わることができる器官です。今までと違ったまったく新しい環境に置かれても人間が生き抜いていけるよう「進化するためのニューロン」を生み出す機能が海馬には備わっているのです。
ただし、新生ニューロンはとても繊細な細胞です。敵であるストレスから守り、栄養をしっかりと与えてやらなければ一人前に成長できない手のかかる子供のようなものです。ただ漫然と日々を過ごしていても増えるものではなく、「自分で育てる」という意識を持って取り組まなくてはなりません。
そのためにもっとも大切なのは、「毎日の目標」を持つことです。それは、「目の前にある”頑張れば飛び越えることができるハードル”」がベストです。脳にとって強いプレッシャーがストレスになるのはもちろん、逆に、まったく目標や報酬がない場合もストレスとなります。もちろん、夢としては大いに持ってもらって結構です。ですが、それよりもまず「1日1時間歩く」「勉強中の外国の単語を1日10個覚える」など、適度な緊張感を持って過ごすことができる、現実味のある目標が、脳のコンディションを整える上ではもっとも効果的なのです。
以上の紹介内容は、すべて下記より抜粋・引用しています。
1週間で脳から生まれ変わる技術
【参考】
『1週間で脳から生まれ変わる技術』
著者:久保辰博
(東京大学 新領域創成科学研究科准教授)
出版社:扶桑社
画像は編集して作成しました。
小見出しは掲載されている見出しと、内容から作成した見出しを使用しました。
文章はすべて本文の一部を要約・抜粋・引用しています。掲載順は一部入れ替えています。
日常生活の変容については、長期計画でイメージすることが役に立ちます。毎日少しずつ継続して変容していくイメージを持てば、無理なく自然に幸せに変容プロセスが進み、段階的に大きな変容につながります。