皮膚と意識・無意識
皮膚と意識・無意識の関係について長年感じていたことを、『サバイバルする皮膚』傳田光洋 (著)の引用を紹介しつつ、ブログにまとめました。
関連ページに卒論論文『身体のコミュニケーション〜無意識性を探る』を追加しました。
目次
インナーウィッシュブログ
引用目的で選んだ本
『サバイバルする皮膚』を手にとった最初の目的は、「表皮は様々な世界の出来事、温度、気圧、酸素濃度、電場、磁場、音、色、匂い分子や味分子などを感知することがわかってきた」という文章を引用したかったからです。
卒論との関係
私が大学の卒論で『身体のコミュニケーション〜無意識性を探る』を書いた頃は、皮膚にこのような機能があることを知りませんでした。無意識の身体的コミュニケーションを「何らかの共振」で説明しようとしていました。卒論のテーマについては、現在も引き続き学びの対象です。本書も卒論テーマに関係があると感じて手に取ったように思います。
経験的な学び
その後、「目に見えない聞こえないコミュニケーション」という意味で言えば、経験的な学びが深まっていきました。IT業界の仕事で通信の仕組みについて学んでからは、アナログ波やデジタル派など目に見えない情報がどのような形や方法で伝わるのかイメージできるようになり、さらに周波数について具体的に知ってからは、さまざまな帯域の電磁波などが、目に見えない、聞こえない形でも届いていることも理解できるようになりました。
感覚的な実感
身体がこれらを受信する場合に、感覚的には「皮膚」でも受信しているような気がしていたけれど、「そんな気がする」と思いながら長年やり過ごしてきたのです。そこまで明確に表現する必要がなかったことも、そのままにしてきた理由です。
ですが本書の、「人間の表皮は、人間が感知する様々な出来事、そのほとんどを眼や耳、鼻や舌とは別に、感知する機能を持っている。さらに情報処理のしくみもある」という内容に関する詳細を読み、「やっぱり」と思ったわけです。
エンパスとの関係
私はエンパス体質で、身体直感型(人の身体に起きていることを知覚)かつ身体ワンネス型(ワンネスはそれを自分の身体の中で同じように体験する能力)です。その他、感情や思考に関しても受け取りますが、一番顕著なのは身体的情報です。
例えば、各種の頭痛や腹痛など軽度な症状から、出産時の陣痛や、ショック時の喉や胸の締め付け、死ぬ直前の体の痛みなど重度の症状まで、隣の席から何百キロも離れた場所にいる人の、様々な身体症状を受け取り実感するのです。
そのため、「遠隔地にいる人の体調を自分がどのように受信しているのか」を長年知りたいと思ってきました。この「受信方法に、皮膚も関係しているのではないか?」と思っています。
なぜなら「脳」で一括受信しているような気がしないからです。誰かの体をそのまま自分の体のように実感する状態が継続する上、自分の身体意識も同時に感じているため、脳の一括処理ではマルチタスクが複雑すぎて無理な気がします。
感覚的な物言いで申し訳ないのですが、身体の各部分が直接感じ取っているような、各部位が同時に受信しているような印象なのです。ただ「皮膚も受信している」ということであって、脳や他も含め、皮膚以外も受信しているように思います。
これについては、本書には全く書かれていません。ですから、ブログとして「関係があるかもしれない」という表現でのみ書かせていただきました。またいずれ何かの形で説明できる情報に出会えるのではないかと楽しみにしています。すでにどこかで説明されているのかもしれないですが。その際は、改めて追記いたします。
目的との関係
卒論やエンパス体質と関係があるという説明をしてきましたが、インナーウィッシュの目的とも関係があると思っています。
それは、「皮膚」に限定したことではなく、「目に見えない聞こえないコミュニケーション」の部分です。かつて卒論では「無意識の」と表現していましたが、かつての「無意識」はずいぶん「意識」できる、つまり言語表現できるものが増えてきました。けれど、まだまだ意識できない「無意識の」情報が果てしなく在ると思うのです。
本書では、「触覚をきっかけにして感じられる世界、たちあらわれる無意識は、ときには人間の、あるいは場合によっては生きとし生けるものに共通する世界のなりたちを、ぼくたちに示すのではないだろうか」と表現されています。
この部分が「目に見えない聞こえないコミュニケーション」を読み解いていく上で、何かとても役立つように感じました。そしてそれは、インナーウィッシュの目的である「日常生活の変容」「意識変容・調和」「成長・目的実現」と深く関係しているように思います。これからも人生の中で少しずつ明らかにしていければと思っています。「生きとし生けるものに共通する世界のなりたち」を直接実感する方向でも進めていければ、と思います。
2022年8月31日 inner-wish
日常に満ちている何か
『サバイバルする皮膚』紹介
以下の内容は全て下記より引用しています。
サバイバルする皮膚〜思考する臓器の7億年史(河出新書)
【参考】
『サバイバルする皮膚〜思考する臓器の7億年史』
出版社 : 河出書房新社
発売日 : 2021/5/21
著者:傳田光洋 (著)
1960年生。京都大学工学博士。資生堂主幹研究員、JST CREST研究者、広島大学客員教授を経て、明治大学先端数理科学インスティテュート研究員。著書に『皮膚感覚と人間のこころ』『驚きの皮膚』など。表皮研究のパイオニアとして知られる。
*画像は無料素材を編集して作成しています。
*小見出しは内容から作成しています。
*文章はすべて本文の一部を要約・抜粋・引用しています。
皮膚は世界を感知している
わずか30年ほど前までは、表皮は角層を形成するだけのために存在すると考えられていた。触覚を担っているのは真皮に入り込んだ神経の先端にある装置(終末装置)であり、圧力や振動、あるいは傷ついたときの痛みを感じるセンサーはそれらだけである。また、温度や酸、刺激物を感知しているのは表皮に入り込んだ神経繊維(自由神経終末)であると信じられていた。そこで圧や振動、温度や刺激物が完治され、脊髄を経由して大脳皮質で知覚される。だれもがそう思って疑わなかった。
しかし、人間の表皮の役割は防御機能だけではなかった。今世紀になってから、表皮は様々な世界の出来事、温度、気圧、酸素濃度、電場、磁場、音、色、匂い分子や味分子などを感知することがわかってきた。言い換えれば表皮には、触覚、視覚、聴覚、味覚があるのだ。人間の表皮は、人間が感知する様々な出来事、そのほとんどを眼や耳、鼻や舌とは別に、感知する機能を持っている。
さらに情報処理のしくみもある。情報処理とは、外から得られた膨大な情報の中から重要なものを選び出し、組み合わせ、その結果としてのメッセージを発信することだと思う。
宇宙を知る皮膚
ぼくは魂のような非物質的なものの存在を受け入れていない。正確に言うと、研究者としては、心身二元論ではない立場から物事を考え論じてみる、という選択をしている。その条件の中で、どこまで様々な現象を説明することができるか、理解できるか、仮説を提案することはできるか、それを続けたい。
素粒子のあるものは宇宙線として地上に飛来している。それが皮膚に衝突した場合、電磁気学的な現象が起きるだろう。表皮が様々な物理学的、化学的な現象を感知しうることが明らかになったのは、今世紀になってからのことだ。ひょっとしたら重力波のような、巨大な設備でやっと観測できるようになった現象も、表皮は感知しているかもしれない。
また、様々な環境からの刺激を受けた後、表皮の中では様々な生化学的変化が起きるのだが、それらの根源にあるものは量子力学的なレベルの現象、たとえばトンネル効果のような物理現象だ。そのような現象も表皮は感知し、そのあるものが脳に送られ、シミュレーションが行われているのではないか。
フィクションとしての意識
人間の場合、意識は意識したときにしか現れない認識である。あるいは意識というものがあると信じている。大脳生理学者は、意識は脳と、身体の様々な感覚器からもたらされる情報の相互作用で生まれると考えている。そこでは過去の記憶、意識的な記憶もあれば、無意識の領域に隠れていた記憶もあるが、その記憶も意識の構築に寄与している。
人間の意識はフィクションなのだ。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの体性感覚、そして過去の記憶をもとに、過去の自分と今の自分、そして未来の自分が同一の存在であるとするフィクションなのだ。
皮膚感覚と無意識
皮膚感覚は、なぜ無意識をよみがえらせることができるのだろうか。
ぼくは、人間の感覚の中で、嗅覚、体性感覚、そして皮膚感覚については言語で語りえないからだと考えている。人間の意識は言語と強く結びついている。人間の意識は常に言語で表現でき、言語で表現しうることが意識だと考える。
視覚情報、聴覚情報、味覚情報は言語で語れる。嗅覚、触覚(体性感覚)を言語で語るのは難しい。
意識は、環境から外からの情報を編集してつくられる。その編集の仕組みは、時代や文化の背景によって異なってくる。触覚は個人の歴史と深く結びついているが、一方で意識というフィクションを作る仕組みからは自由なのではないか。そのため、触覚をきっかけにして感じられる世界、たちあらわれる無意識は、ときには人間の、あるいは場合によっては生きとし生けるものに共通する世界のなりたちを、ぼくたちに示すのではないだろうか。
以上の内容は全て下記より引用しています。
サバイバルする皮膚〜思考する臓器の7億年史(河出新書)
【参考】
『サバイバルする皮膚〜思考する臓器の7億年史』
出版社 : 河出書房新社
発売日 : 2021/5/21
著者:傳田光洋 (著)
1960年生。京都大学工学博士。資生堂主幹研究員、JST CREST研究者、広島大学客員教授を経て、明治大学先端数理科学インスティテュート研究員。著書に『皮膚感覚と人間のこころ』『驚きの皮膚』など。表皮研究のパイオニアとして知られる。
*画像は無料素材を編集して作成しています。
*小見出しは内容から作成しています。
*文章はすべて本文の一部を要約・抜粋・引用しています。
関連ページ
卒業論文-身体のコミュニケーション〜無意識性を探る
2022年11月24日更新NEW!
『身体のコミュニケーション〜無意識性を探る』という30年前の卒業論文を掲載した理由は、「無意識の情報交換」がインナーウィッシュにとって重要なテーマだからです。続きを読む(inner-wish補足)
脳の中の意識~注意
意識が立ち上がるには、脳内の数多くのニューロンがいっせいに発火し、興奮する必要があるようだ。ニューロンの同時発火が、ひとつの経験を構成するさまざまな要素を「束ね」て、単一の知識にまとめあげる。意識に必要不可欠な要素、それは注意である。
◆脳の中の意識~注意-新・脳と心の地形図【新・脳と心の地形図】
HSC(HSP)&エンパス
エンパスは、共感力が非常に高く、他人の感じていることをまるで自分のことのように感じてしまう能力を持つ人のことです。
身体直感型(人の身体に起きていることを知覚)
身体ワンネス型(ワンネスはそれを自分の身体の中で同じように体験)