大パリニッバーナ経〜ブッダ最後の旅

更新日:2015/06/13 公開日:2015/06/13

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大パリニッバーナ経〜ブッダ最後の旅【自己変容の道】
大パリニッバーナ経〜ブッダ最後の旅【自己変容の道】

大パリニッバーナ経〜ブッダ最後の旅

 

仏教の開祖ゴータマ・ブッダ(釈尊)の死は、後代の仏教徒にとっては大きな意義をもった事件であった。それを述べている代表的な教典がこの『大パリニッバーナ経』である。『ブッダ最後の旅 大パリニッバーナ経』中村元/訳より抜粋

 


以下の紹介内容は、すべて下記より引用しています。

ブッダ最後の旅―大パリニッバーナ経 (岩波文庫) 文庫

【参考】

『ブッダ最後の旅 大パリニッバーナ経』

中村元/訳 岩波文庫

 

画像については、書籍の内容を参考に作成したものです。それ以外の追加情報については参照元を個別に記載します。

 


『ブッダ最後の旅』(大パリニッバーナ経)

仏教の開祖ゴータマ・ブッダ(釈尊)の死は、後代の仏教徒にとっては大きな意義をもった事件であった。それを述べている代表的な教典がこの『大パリニッバーナ経』であり、それをパーリ語の原文から翻訳したわけである。この書の中ではかれの最後の旅を記述しているから、解り易く『ブッダ最後の旅』という題をつけることにした。

(訳者・中村元氏の解題より抜粋)


●第二章 九、旅に病む――ベールヴァ村にて

旅に病む

二三 さて尊師が雨期の定住に入られたとき、恐ろしい病が生じ、死ぬほどの激痛が起こった。しかし尊師は、心に念じて、よく気をつけて、悩まされることなく、苦痛を堪え忍んだ。そのとき尊師は次のように思った、――「わたしが侍者たちに告げないで、修行僧たちに別れを告げないで、ニルヴァーナに入ることは、わたしにふさわしくない。さあ、わたしは元気を出してこの病苦をこらえて、寿命のもとを留めて往することにしよう」と。そこで尊師は、元気を出してその病苦をこらえて、寿命のもとを留めて往していた。すると、尊師のその病苦はしずまった。

 

二五 「アーナンダよ、修行僧たちはわたくしに何を期待するのであろうか?わたくしは内外の隔てなしに(ことごとく)理法を説いた。完(まった)き人の教えには、何ものかを弟子に隠すような教師の握拳(にぎりこぶし)は、存在しない。『わたくしは修行僧のなかまを導くであろう』とか、あるいは『修行僧のなかまはわたくしに頼っている』とこのように思う者こそ、修行僧のつどいに関して何ごとかを語るであろう。しかし、向上につとめた人は『わたくしは修行僧のなかまを導くであろう』とか、あるいは『修行僧のなかまはわたくしに頼っている』とか思うことがない。向上につとめた人は修行僧のつどいに関して何を語るであろうか。

 

アーナンダよ。わたしはもう老い朽ち、齢をかさね老衰し、人生の旅路を通り過ぎ、老齢に達した。わが齢は八十となった。譬えば古ぼけた車が革紐の助けによってやっと動いて行くように、恐らくわたしの身体も革紐の助けによってもっているのだ。しかし、向上につとめた人が一切の相をこころにとどめることなく一部の感受を滅ぼしたことによって、相の無い心の統一に入ってとどまるとき、そのとき、かれの身体は健全(快適)なのである。

 

二六 それ故に、この世で自らを島とし、自らをたよりとして、他人をたよりとせず、法を島とし、法をよりどころとして、他のものをよりどころとせずにあれ。では、修行僧が自らを島とし、自らをたよりとして、他人をたよりとせず、法を島とし、法をよりどころとして、他のものをよりどころとしないでいるということは、どうして起るのであおうか?

 

アーナンダよ。ここに修行僧は身体について身体を観じ、熱心に、よく気をつけて、念じていて、世間における貪欲と憂いとを除くべきである。感受について感受を観察し、熱心に、よく気をつけて、念じていて、世間における貪欲と憂いとを除くべきである。心について心をよく観察し、熱心に、よく気をつけて、念じていて、世間における貪欲と憂いとを除くべきである。諸々の事象について諸々の事象をよく観察し、熱心に、よく気をつけて、念じていて、世間における貪欲と憂いとを除くべきである。

 

アーナンダよ。このようにして、修行僧は自らを島とし、自らをたよりとして、他人をたよりとせず、法を島とし、法をよりどころとして、他のものをよりどころとしないでいるのである。

 

アーナンダよ。今でも、またわたしの死後にでも、誰でも自らを島とし、自らをたよりとして、他人をたよりとせず、法を島とし、法をよりどころとして、他のものをよりどころとしないでいる人々がいるならば、かれらはわが修行僧として最高の境地にあるであろう、――誰でも学ぼうと望む人々は――。」

 


●第三章 一〇、命を捨てる決意

命を捨てる決意

二 そこで尊師はチャーバーラ霊樹のもとに赴いた。赴いてから、あらかじめ設けられた座席に坐した。若き人アーナンダは尊師に敬礼して、一方に坐した。一方に坐した若き人アーナンダに、尊師はこのように言われた。――


「アーナンダよ。ヴェーサーリーは楽しい。ウデーナ霊樹の地は楽しい。ゴータマカ霊樹の地は楽しい。七つのマンゴーの霊樹は地は楽しい。バフプッタの霊樹の地は楽しい。サーランダダの霊樹の地は楽しい。チャーパーラ霊樹の地は楽しい。



●第三章 一三、死別の運命

死別の運命

四八 「しかし、アーナンダよ。わたしはあらかじめこのように告げておかなかったか?――

『愛しく気に入っているすべての人々とも、やがては、生別し、死別し、(死後には生存の場所を)異にするに至る』と。アーナンダよ、生じ、存在し、つくられ、壊滅する性質のものが、(実は)壊滅しないように、ということが、この世でどうして有り得ようか?このような道理は存在しない。それは修行完成者によって棄てられ、吐きすてられ、放され、捨てられ、投げ捨てられたものである。寿命の素因は捨てられた。修行完成者は、断定的にこのことばを説かれた、――『久しからずして修行完成者は亡くなるであろう。これから三ヶ月過ぎたのちに、修行完成者は亡くなるであろう』と。修行完成者が、生きのびたいために、このことばを取り消す、というようなことは有り得ない。さあ、アーナンダよ。<大きな林>にある重閣講堂に行こう。」「かしこまりました」と若き人アーナンダは尊師に答えた。

 

四九 そこで、尊師は、若き人アーナンダとともに<大きな林>にある重閣講堂におもむいた。そこにおもむいて、若き人アーナンダに告げて言った。「アーナンダよ、さあ。ヴェーサーリーの近くに住むすべての修行僧たちを、講堂に集めなさい。」「かしこまりました」と若き人アーナンダは尊師に答えて、ヴェーサーリーの近くに住するすべての僧を講堂に集めて、尊師に近づいた。近づいて尊師に挨拶し、一方に立った。一方に立って、若き人アーナンダは尊師に次のように言った。――「尊い方よ。修行僧の仲間は集まっております。ご随意にいつでも、どうぞおでかけください」と。

 

五〇 そこで尊師は講堂に近づいた。近づいて、設けてあった席に坐した。坐して、尊師は修行僧たちに告げた。――

「修行僧たちよ。それでは、ここでわたしは法を知って説示したが、お前たちは、それを良くたもって、実践し、実修し、盛んにしなさい。それは、清浄な行ないが長くつづき、久しく存続するように、ということをめざすのであって、そのことが、多くの人々の利益のために、世間の人々を憐れむために、神々と人々との利益・幸福になるためである。そうして、修行僧たちよ、わたしが、それを知ってお前たちのために説示したが、お前たちがそれを良くたもって、実践し、実修し、盛んにすべきであり、そうしてそれは、清浄な行ないが長くつづき、久しく存続するように、ということをめざすのであって、そのことが、多くの人々の利益のために、多くの人々の幸福のためであるところの、その<法>とは何であるか?

 

それはすなわち、四つの念ずることがら(四念処)と、四つの努力(四正勤)と四つの不思議な霊力(四神足)と五つの勢力(五根)と五つの力(五力)と七つのさとりのことがら(七覚支)と八種よりなるすぐれた道(八正道)とである。

 

修行僧たちよ。これらの法を、わたしは知って説いたが、お前たちは、それを良くたもって、実践し、実修し、盛んにしなさい、それは、清浄な行ないが長くつづき、久しく存続するように、ということをめざすのであって、そのことは、多くの人々の利益のために、多くの人々の幸福のために、世間の人々を憐れむために、神々と人々との利益・幸福になるためである」と。

 

五一 そこで尊師は修行僧たちに告げられた、「さあ、修行僧たちよ。わたしはいまお前たちに告げよう、――もろもろの事象は過ぎ去るものである。怠けることはなく修行を完成なさい。久しからずして修行完成者は亡くなるだろう。これから三ヶ月過ぎたのちに、修行完成者は亡くなるだろう」と。

 

尊師、幸いな人、師はこのように説かれた。このように説いたあとで、さらに次のように言われた。――

 

「わが齢は熟した。

わが余命はいくばくもない。

汝らを捨てて、わたしは行くであろう。

わたしは自己に帰依することをなしとげた。

汝ら修行僧たちは、怠ることなく、よく気をつけて、

よく戒めをたもて。

その思いをよく定め統一して、おのが心をしっかりとまもれかし。

この教説と戒律とにつとめはげむ人は、生れをくりかえす輪廻をすてて、苦しみも終滅するであろう」と。

 


以上の紹介内容は、すべて下記より引用しています。

ブッダ最後の旅―大パリニッバーナ経 (岩波文庫) 文庫

【参考】

『ブッダ最後の旅 大パリニッバーナ経』

中村元/訳 岩波文庫

 

画像については、書籍の内容を参考に作成したものです。それ以外の追加情報については参照元を個別に記載します。