今のような時代に哲学と宗教の流れを学ぶことは役に立ちます。世界の人々に影響を与えている考え方や見方を学ぶことで、多様性の理解に近づけるからです。あらゆる立場の人々が何を伝えようとしているのかを知ろうとすることは、多様性に満ちた世界の調和に近づく方法となります。何が正しいかではなく、何が大切だと伝えているのかの違いを学ぶことができます。
2022年3月14日 inner-wish
今、哲学と宗教の流れを学ぶ理由について『哲学と宗教全史』出口治明氏 (著)より紹介しています。
以下の紹介内容は、すべて下記より抜粋・引用しています。
『哲学と宗教全史』
【参考】
『哲学と宗教全史』
出口 治明
(立命館アジア太平洋大学学長)
出版社 : ダイヤモンド社 (2019/8/8)
画像は編集して作成しました。
小見出しは掲載されている見出しを使用しました。
文章はすべて本文の一部を要約・抜粋・引用しています。
現在はテロが横行し、難民問題が世界に拡がり、さらにインターネット社会の到来がもたらした、匿名による他者への誹謗や中傷が人間に対する偏見と憎悪を増幅しています。
このような時代に、哲学や宗教は力になってくれるのでしょうか。新しい令和の時代を迎えた今、そのことについて原点に立ち戻って考えてみたいと思います。
あるとき、哲学者になった僕の友人に、「なぜ哲学を専攻したのか」と尋ねたところ、彼は「世界のすべてを考える学問という点に惹かれた」と答えました。
現代の学問は微に入り細を穿(うが)ち、あまりにもタコツボ化しているように思われます。世界をトータルに理解する必要性はますます高まっています。僕は歴史が大好きですが、人類の悠久の歴史を紐解いてみると、世界を丸ごと理解しようとチャレンジした無数の哲学者がいたことに気づかされます。
同じような意味で、病(やまい)や老い、死などについて恐れ戦(おのの)く人々を丸ごと救おうとした宗教家もたくさんいました。この本では、世界を丸ごと把握し、苦しんでいる世界中の人々を丸ごと救おうとした偉大な先達たちの思想や事績を、皆さんに紹介したいと思っています。皆さんが世界を丸ごと理解しようとしたときの参考になれば、著者としてこれほど嬉しいことはありません。
一方において、次のようにも考えました。さまざまなビジネスの世界で、仕事のヒントを与えてくれたり、仕事が行き詰まったときに新鮮な発想をもたらしてくれるのは、専門分野の知識やデータよりも、異質な世界の歴史や出来事であることが多いという事実を。この観点に立てば、人類の知の葛藤から生み出された哲学や宗教を学ぶことは、日常のビジネスの世界にとっても、有益となるのではないかと思うのです。本書を執筆した目的の一つには、そのことも含まれています。
哲学や宗教は、まだまだ人間の知の泉の一つであると思うのです。
皆さんは、「哲学と宗教はかなり異なるのではないか」あるいは「哲学だけでいいのではないか」などと思われるかもしれません。この問いに対する答えは簡単です。イブン・スィーナー、トマス・アクィナス、カントなどの偉大な哲学者はすべて哲学と宗教の関係を紐解くことに多大の精力を注いできました。歴史的事実として、哲学と宗教は不即不離の関係にあるのです。
振り返ってみれば、僕は人生の節目節目において哲学や宗教に関わる知見にずいぶんと助けられてきた感じがします。そうであれば、哲学や宗教の大きな流れを理解することは、間違いなくビジネスに役立つと思うのです。
本書では、可能な限りそれらの宗教家や哲学者の肖像を載せるように努めました。それは彼らの肖像を通して、それぞれの時代環境の中で彼らがどのように思い悩み、どのように生きぬいたかを読者の皆さんに感じ取ってほしいと考えたからに他なりません。
ソクラテスもプラトンもデカルトも、ブッダや孔子も皆さんの隣人なのです。同じように血の通った人間なのです。ぜひ、彼らの生き様を皆さんのビジネスに活かしてほしいと思います。
(本書「はじめに」より)
以下の紹介内容は、すべて下記より抜粋・引用しています。
『哲学と宗教全史』
【参考】
『哲学と宗教全史』
出口 治明
(立命館アジア太平洋大学学長)
出版社 : ダイヤモンド社 (2019/8/8)
画像は編集して作成しました。
小見出しは掲載されている見出しを使用しました。
文章はすべて本文の一部を要約・抜粋・引用しています。
哲学と宗教は大学時代に一通り学んでいましたし、社会人になってからも個人的な学びは続けてきました。しかし、興味関心の違いで部分的に深く、そうでない部分は忘れていることも多く、知識がとても偏っていたように思います。
本書は、時代背景や互いの影響をベースに人物中心の全史として構成されています。ですから、哲学と宗教の始まりから現在までを通して、一様に俯瞰して眺めることができます。また、一冊の中で大きな流れのようにストーリー性が感じられるため、一気に一冊を読み通すことができました。今後も辞書のように何度も調べると思います。
専門分野の方からすれば、各人物の説明が少なく感じられることもあるかもしれません。ですが、全体を眺め、多様な哲学と宗教の潮流を把握するためには大きく役立つものと思われます。更に詳しく調べたい方のために、各人物説明の最後におすすめ書籍も紹介されています。
グローバリゼーションや多様化する社会と言われる今、どのような哲学や宗教の影響があるのか理解できることは役立つと思います。多様なあり方で共存する・調和するのは簡単なことではありませんが、学び理解することは一助になると思われます。
これからの多様化する社会で、個性が異なる多くの人間が協力しあうには、理性と直観を鍛えること、適応学習による小さな改善・ビジョン・進化する知識が役立つと言われています。『決断科学のすすめ』より紹介。
異なる立場の葛藤を解決するためには、両者を超える調和が必要です。それは、どちらの側でもない、両者が共存できる在り方を探す道にあります。一方に偏る急激な変化ではなく、地道で継続的な調整の努力により、両者が共存できるための小さな改善を繰り返すのです。また繰り返しを長期に観る視点と、苦しみの経験を繰り返さないという学びが重要です。
平和は育て続けるものです。私たちは長い歴史の中で、経験・反省・学習を繰り返し、平和を育てています。何か事が起こるたびに調和の道を探し、知識や智慧を学びながら、少しずつ経験と学びを積み上げてきました。心の平和も、身近な平和も、遠くの平和も、試行錯誤しながら平和を育て続けるものだと思います。
意思決定力を向上するためには、直感と理性の両方を向上する必要があります。直感は、知識・経験・練習・改善によって、スキルと共に向上できます。理性は、知識や能力を高め、常時チェックする仕組みによって、判断力と共に向上できます。さらに認知的エラーの兆候を見落とさず、思考をスローダウンさせ、注意深く判断・選択することも大切です。
意思決定力における直感と理性の働きについて、ノーベル経済学賞受賞者ダニエル・カーネマンの著書『ファスト&スロー』より紹介しています。
自然の法則にかなっているということは、違う言い方をすれば自分だけのことを考えてやっているのか、これは自分の家族のことだけを考えてやっているのか、あらゆる人のため、人間のためだけでなく、全ての存在物のことを考えてやっているのかと絶えず自分に問いながら行動をするということです。
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