多様性による視野の拡大は役立ちます。多様性を取り入れることで視野が広がり盲点が減るからです。性別、人種、年齢、信仰の違いだけでなく、ものの見方や考え方が異なる人の視点を取り入れると、複雑な問題について解決策の幅が広がります。多様性を理解し、盲点や固定概念を意識しつつ、異なる視点を増やすことで、視野を広げることが可能になります。
2022年3月17日 inner-wish
多様性による視野拡大について『多様性の科学』マシュー・サイド (著)より紹介しています。
以下の紹介内容は、すべて下記より抜粋・引用しています。
『多様性の科学』画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織
【参考】
『多様性の科学』
画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織
著者:マシュー・サイド
訳者:株式会社トランネット
出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン (2021/6/25)
画像は編集して作成しました。
小見出しは掲載されている見出しと、内容から作成した見出しを使用しました。
文章はすべて本文の一部を要約・抜粋・引用しています。
本書のテーマは多様性だ。考え方が異なる人々の集団がもたらす大きな力をさまざまな角度から検討していく。一筋縄ではいかない問題を解決しようとする際には、正しい考え方ばかりでなく「違う」考え方をする人々と協力し合うことが欠かせない。複雑なものごとを考えるときは、一歩後ろに下がって、それまでと違う新たな視点からものを見る必要がある。
ただ一口に多様性といってもさまざまな種類がある。性別、人種、年齢、信仰などの違いは、「人口統計学的多様性」としてよく分類される。本書ではこの種の多様性のほかにもう1つ、ものの見方や考え方が異なる「認知的多様性」についても検討する。
認知的多様性は、数百年前まではそれほど重要視されていなかった。自分自身で正解を弾き出せる。異なる意見は間違いであり、余計なものでしかない。しかし、計算では解決できない難題になると話は違う。その場合は、同じ考え方の人々の集団より、多様な視点を持つ集団の方が大いにーたいていは圧倒的にー有利だ。
何層にも折り重なった複雑な問題の解決には、何層もの視点が欠かせない。アメリカの偉大な心理学者フィリップ・E・テトロックはこう言った。「視点が多様化すればするほど、見つけられる有益な解決策の幅が広がる」。つまりカギは、異なる視点を持つ人々を集めることだ。
多様性に欠ける画一的な集団は、ただパフォーマンスが低いというだけにとどまらない。同じような人々の集団は盲点も共通しがちだ。しかもその傾向を互いに強化してしまう。これはときに「ミラーリング」と呼ばれる。ものの見方が似た者同士は、まるで鏡に映したように同調し合う。そんな環境では、不適切な判断や完全に間違った判断にも自信を持つようになる。まわりの同意を受けて、自分がこれだと思うことが正しいと信じてしまうのだ。
ただ言うまでもなく、集団のメンバーにあまり知識がなければ、その意見を組み合わせたところで正解にはたどり着けない。集合知を得るには、賢い個人が必要だ。それと「同時に」多様性も欠かせない。そうでなければ同じ盲点を共有することになる。
しかし多様性豊かな環境は、矛盾した現象ももたらす。インターネットでも実社会でも同じことが起きる。世界が広がるほど、人々の視野が狭まっていくのだ。
これは現代社会における特徴的な問題の1つ、「エコーチェンバー現象」[同じ意見の者同士でコミュニケーションを繰り返し、特定の信念が強化される現象]につながる。インターネットは、その多様性とは裏腹に、同じ思想を持つ画一的な集団が点々と存在する場となった。
多様性を排除してしまうと、エコーチェンバー現象によって現実が歪んで見え始める。つまり自分と考えが合う人の意見、あるいは自身の意見を裏付けてくれる情報に触れる機会が多くなる。反対意見に触れる割合はずっと低い。
この傾向はいわゆる「フィルターバブル」によってさらに強まる。インターネットでは検索サイトのアルゴリズム(つまり特定のフィルター)が、利用者の好みに合わせて検索結果をふるいにかけている。そのため利用者が好む情報ばかりが表示されやすくなる。まるで泡(バブル)の中に閉じ込められたようになって、多様な意見や視点へのアクセスが制限されるのだ。
多様性を正しく理解し始めれば、視野が大きく開けていく。人類の知性は、個人ばかりではなく集団の多様性の上に成り立っているということがわかる。イノベーションも、個人の知恵に限らず集団のネットワークの中で起こる融和がカギだ。人類の繁栄も個人の脳を超えた集団脳によってもたらされる。
まずこうした事実を理解することが、多様性のメリットを実生活で享受するためには欠かせない。我々は自分と同じ考えの人、同じ視点や同じ偏見を持つ人と一緒にいることを無意識に好む。その方が気が楽だ。しかもみんなで賛同し合って、自分たちの考えに自信を持てる。
そんな状況に陥らないための対抗策として、多様性を正しく理解する以上に効果的な方法はあるだろうか?同じ考え方の人間ばかり集めても目標達成の足かせになるだけだとわかっていれば、そうならないように用心するだろう。同じ視点の人間ばかりでは物事をあらたに学ぶチャンスをなくしてしまう。多様性に富む文化は、多様性の本質を理解して初めて構築できる。
以上の紹介内容は、すべて下記より抜粋・引用しています。
『多様性の科学』画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織
【参考】
『多様性の科学』
画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織
著者:マシュー・サイド
訳者:株式会社トランネット
出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン (2021/6/25)
画像は編集して作成しました。
小見出しは掲載されている見出しと、内容から作成した見出しを使用しました。
文章はすべて本文の一部を要約・抜粋・引用しています。
これからの多様化する社会で、個性が異なる多くの人間が協力しあうには、理性と直観を鍛えること、適応学習による小さな改善・ビジョン・進化する知識が役立つと言われています。『決断科学のすすめ』より紹介。
現代社会やグローバルな時代という文脈での「多元」は、多様性を肯定・容認する意味合いで使われることが多いようです。多元の意味について『宗教多元主義を学ぶ人のために』他より紹介しています。
今のような時代に哲学と宗教の流れを学ぶことは役に立ちます。世界の人々に影響を与えている考え方や見方を学ぶことで、多様性の理解に近づけるからです。今、哲学と宗教の流れを学ぶ理由について『哲学と宗教全史』出口治明氏 (著)より紹介しています。
意思決定力を向上するためには、直感と理性の両方を向上する必要があります。直感は、知識・経験・練習・改善によって、スキルと共に向上できます。理性は、知識や能力を高め、常時チェックする仕組みによって、判断力と共に向上できます。さらに認知的エラーの兆候を見落とさず、思考をスローダウンさせ、注意深く判断・選択することも大切です。
意思決定力における直感と理性の働きについて、ノーベル経済学賞受賞者ダニエル・カーネマンの著書『ファスト&スロー』より紹介しています。
天地の間にある全ての意識ポイントから、それぞれの両面を見ることが役立ちます。これは個人的な物事の見方です。これを多くの人々が、様々な立場あるいは専門分野から、両面・天地の視点で眺めた時に、より詳細な全体像が浮かび上がってきます。物事の全体像をじっくり見る必要がある時には、このように多くの視点から見ることが役立つと思います。
異なる立場の葛藤を解決するためには、両者を超える調和が必要です。それは、どちらの側でもない、両者が共存できる在り方を探す道にあります。一方に偏る急激な変化ではなく、地道で継続的な調整の努力により、両者が共存できるための小さな改善を繰り返すのです。また繰り返しを長期に観る視点と、苦しみの経験を繰り返さないという学びが重要です。
平和は育て続けるものです。私たちは長い歴史の中で、経験・反省・学習を繰り返し、平和を育てています。何か事が起こるたびに調和の道を探し、知識や智慧を学びながら、少しずつ経験と学びを積み上げてきました。心の平和も、身近な平和も、遠くの平和も、試行錯誤しながら平和を育て続けるものだと思います。