苦手や失敗からの改善が脳の神経を強化することを知り、意図的に学習や練習を継続することで、その経験を力に変えることができます。神経科学と高成績者の行動研究の両方で、ミスやつまづきがプラスの影響を与えるという結果がでているそうです。能力を際限なく発揮するためには、苦手や失敗を力に変えながら、脳内に新しい構造が形成されるよう、ゆっくりと学習と練習を継続することが役立ちます。
2022年2月21日 inner-wish
苦手や失敗を力に変える方法について『「無敵」のマインドセット 心のブレーキを外せば、「苦手」が「得意」に変わる』ジョー・ボアラー (著)より紹介しています。
以下の紹介内容は、すべて下記より抜粋・引用しています。
「無敵」のマインドセット 心のブレーキを外せば、「苦手」が「得意」に変わる
【参考】
「無敵」のマインドセット
心のブレーキを外せば、「苦手」が「得意」に変わる
著者:ジョー・ボアラー
(スタンフォード大学 教育学部教授)
訳者:鹿田昌美
画像は編集して作成しました。
小見出しは掲載されている見出しと、内容から作成した見出しを使用しました。
文章はすべて本文の一部を要約・抜粋・引用しています。掲載順は一部入れ替えています。
能力は生まれながらに定まっていないし、一部の人が最高レベルに到達できるのは、遺伝のせいではない。「脳は変わらない」という考えを手放し、「遺伝学が人生の進路を決定する」という思い込みを捨て、脳に信じられないほど適応力があることを知ってほしい。
学ぶたびに脳が変化し再構築されることが、脳の可塑性(神経可塑性)の研究からわかっている。これは、この10年間で最も重要な研究だと言えるだろう。
神経可塑性が最初に発見されたのは数十年前であり、子どもと大人の脳が成長し変化することを示した画期的な研究は、十分に確立されている。ところが、この科学的な情報が、学校の教室や会議室、各家庭に行きわたっているとは言えない。だから本書ではその点について詳しくお伝えする。
心理学者アンダース・エリクソンは「意図的な練習」について深く掘り下げ始めた。すると、走るのが好きなスティーブが非常に負けず嫌いで意欲が高いことに気づいた。スティーブは定期的に、新しい戦略を開発していたのだ。壁にぶつかったときは、新しい視点から問題に取り組むのが有利なのだ。
きわめて理にかなったことだが、多くの人は、壁にぶつかったときに思考を調整することができず、むしろ「克服できない」と決めつけてしまう。
エリクソンはさまざまな分野での人間のパフォーマンスを研究し、次のように結論づけた。「どの分野においても、人がパフォーマンスの限界に達したという明確な証拠を得ることはきわめてまれである。その代わりに私が発見したのは、多くの人は、単にあきらめてしまい、改善の努力をやめてしまうということだ。
学びの途中で行きづまったり間違えたりしてもいいという意識を持つと、学習体験を向上させる神経細胞(ニューロン)の接続が強化されることがわかっている。神経科学と高成績者の行動研究の両方で、ミスやつまづきがプラスの影響を与えるという結果が出ているのだ。
脳は、神経線維を含むニューロンが、網の目のように互いに連結し合って機能している。ミリエンは、線維を包み込む断熱材のようなもので、信号の強度と速度を高める役割をする。
たとえば、アイデアを振り返ったり、サッカーボールを蹴ったりすると、ミリエンはそれに関連する神経回路を覆って、特定の回路を最適化し、次のときには、もっと効率的な動きや思考ができるようにしてくれる。だからミリエンは、学習プロセスに不可欠なのだ。ほとんどの学習には時間がかかるが、ミリエンは、信号を強化して、回路を徐々に強化することで、学習のプロセスを助けてくれる。
ではどのようにすれば「超一流の回路」が育つのだろう?理解力ぎりぎりのレベルの問題に取り組み、困難な状況の中で試行錯誤をし、間違いを修正し、次の問題へと進んで、さらに間違いをする、というプロセスを経験することだ。
常に難しい内容に取り組んで、自分に負荷をかけるのだ。きわめて効果の高い学習法の特徴からわかるのは、ミスをして、間違いに苦労して取り組むという学習によって、初心者が達人へと成長するということだ。
これは、脳の研究結果と一致している。苦労してミスをすると脳の活動が増え、正しく仕事を行うと脳の活動が減少するのだ。残念なことに、ほとんどの学習者は常に正解しなければならないと考え、多くの人は、ミスやつまづきがあると、優秀な学習者ではないと感じてしまうが、ミスやつまづきをすることが最高の学習法なのだ。
自分の思い込みが、実際に脳の活動を変えるということだ。自分の可能性を信じる人は信じない人よりも、ミスをしたときに有益な脳活動をする。これは、誰にとっても大きな価値のある発見である。
自分を信じながら困難な状況に陥るほうが、自分にはできないと思いながら同様の状況に陥るよりも、脳が前向きに反応するのだ。困難な状況に直面したり、プライベートで問題のある状況に陥ったりしたとき、この結果を知っていれば、自分を信じながら対処しようと思えるだろう。
思い込みを変えると、脳の物理的構造が変化し、より高いレベルの思考と創造的な問題解決を可能にする回路が作られる。「脳は筋肉のように努力と勉強で成長する」という情報を受け取ると、生徒の達成レベルが変化したというデータがある。脳の成長とマインドセットに関する情報を得た生徒は低下がとまり、向上し始めたのだ。
医師のノーマン・ドイジによると、何かを素早く学習するときは、既存の神経回路が強化されているそうだ。これらは「簡単に手に入り、簡単に失う」神経回路であり、急速に逆行する。定着せずにすぐに忘れてしまうのだ。
もっと恒久的な脳の変化は、脳内に新しい構造が形成されること、つまり神経回路の接続とシナプスの発芽によって生じる。このプロセスには、常に時間がかかるのだ。
ドイジから学習者への助言はこうだ。「ザルのように頭から抜け落ちて学習できていないと感じたら、そのまま続けなさい。もっと深く効果的な学びが訪れるだろう」スキルを習得するのが遅いカメは、友達のウサギよりもよく学べるかもしれない。
素早く学ぶ人は、繰り返しの実践によって定着させなければ、知識を保持できるとは限らないからだ。スピードによって脳の活動のしかたが異なり、ゆっくりとした深い活動のほうがより重要なのだ。
以上の紹介内容は、すべて下記より抜粋・引用しています。
「無敵」のマインドセット 心のブレーキを外せば、「苦手」が「得意」に変わる
【参考】
「無敵」のマインドセット
心のブレーキを外せば、「苦手」が「得意」に変わる
著者:ジョー・ボアラー
(スタンフォード大学 教育学部教授)
訳者:鹿田昌美
画像は編集して作成しました。
小見出しは掲載されている見出しと、内容から作成した見出しを使用しました。
文章はすべて本文の一部を要約・抜粋・引用しています。掲載順は一部入れ替えています。
日常生活の中で人生を大きく変えるために、見方や考え方から変えていく方法があります。新しい刺激によって脳を育て、生き方まで大きく変えていくことが可能です。これは困難を乗り越える際にも有効な方法です。
※『1週間で脳から生まれ変わる技術』より紹介
これからの多様化する社会で、個性が異なる多くの人間が協力しあうには、理性と直観を鍛えること、適応学習による小さな改善・ビジョン・進化する知識が役立つと言われています。
※『決断科学のすすめ』より紹介
日常生活の変容については、長期計画でイメージすることが役に立ちます。毎日少しずつ継続して変容していくイメージを持てば、無理なく自然に幸せに変容プロセスが進み、段階的に大きな変容につながります。